そもそも、、わらび餅って何?

植物の「蕨」(左写真)の根っこ(右写真)に含まれる澱粉を粉末にした「蕨粉」を原料とする日本の伝統の和菓子です。ちなみに「蕨」ではなく、「葛」の根っこで作るものは「葛餅」です。関東ではこちらのほうが馴染みがあるかもしれませんね。

※わらび餅と本わらび餅の原料の違いとは

「本」は販売者が購買意欲を高めたり、より本物感を伝えたいためにつけている装飾語です。わさびも「本わさび」「生わさび」など、似たように使われていますよね。法的根拠による言葉の意味の違いは一切ありません。(保健所に確認済み)そもそもこれが一番の問題でないかと思いますが、、、

では実際の現場ではどういう解釈が行われ、どういう意見の乖離が起きているかということを説明したいと思います。

まず販売者の多くはできるだけ安い原価のものを高値で販売して高利益を得ようと考えると思います。対して消費者の多くはできるだけ高価値のものを低価格で購入しようと考えると思います。販売者に対して適正な表示をすることが求められている食品業界でありますが、なぜか「わらび餅」に関しては無法地帯的な状態です。

ここからはあくまでも商慣習としての解釈となります事をご理解ください。

「わらび餅」と明記して販売しているものには「蕨粉」は使用されていないことが殆どです。主に澱粉(サツマイモ、ジャガイモが主となっています。)だけで作られています。

「本わらび餅」と明記するのは「蕨粉」を少しでも使用していればいい。とされています。和菓子で有名な地区の組合でさえ「少なくとも5%以上使用したら「本わらび餅」と明記してもいいでしょう。」とされています。

消費者からするとこの5%でも著しく少なく感じると思います。なかには「本わらび餅」といえば「蕨粉」だけで作っているもの。と思われている方もいらっしゃると思います。

残念ながらこの意識の乖離を埋めることが出来ていないのが現状です。

※蕨粉ってそんなに貴重なもの?

数年後になくなってしまうとか、「蕨粉」が無くなって「本わらび餅」が作れなくなるとかいうほどの希少価値はないと思っています。が、併用されている「澱粉」に比べると供給量は極端に少ないとは思います。そのため国産の「澱粉」と「蕨粉」では価格に20倍ほどの差があります。中国産の「蕨粉」にしても10倍ほどの差はあります。だからこそ「蕨粉」を使用しない「わらび餅」ができて、一般化されているのかもしれませんね。

※蕨粉の使用割合の見極め方

簡単に言えば、蕨粉の含有量が多いと見た目に黒くなります。

最近「黒糖」を使用しているお店が増えていますが、その効果を狙っているとかいないとか。。逆に言えば「本わらび餅」と明記されていても色が白っぽかったり茶色っぽいものは含有量が極端に少ないと思われます。ちなみに5%でもべっこう色ぐらいにはなります。また、含有量といっても2種類の組み合わせになるので、要注意が必要です。

1つ目は蕨粉と澱粉との含有量。先ほどからの5%というのはこの含有量を指しています。

ちなみに当店は20~25%の含有量です。2つ目は粉類と水との含有量。例えば蕨粉100%でも水に対しての含有量が低ければ色の薄いとろとろすぎて固まらないものになってしまいます。ちなみに当店は10~20%の含有量です。

※蕨粉100%の本わらび餅ってどう?

先ほどの2つ目の含有量と大きく関わりますが、レシピによって色・食感が大きく変わります。さらに蕨粉だけで作ると消費期限が極端に短くなります。使用する水による影響も大きくありますが、水道水と蕨粉で作ると約3時間が消費期限となります。

※じゃあ何を基準に選べばいいの?

お菓子って嗜好品なので個人個人によって好みが違うと思います。その好みって高ければいいってものでもなく、100円のわらび餅は大好きな人だっていると思います。本わらび餅だって、今まで述べたように、材料の違いだけでなく、2種類の含有量の違いによってさまざまな食感や色のものが作れます。ですので、やはり自分でおいしそうだと思うものを選んで口に合ったものを見つけるのが一番いいと思います。とはいえ、わらび餅に関しては誤認表示に近いものも多々ありますので、購入判断するための幾つかの注意点をお伝えしたいと思います。

●蕨粉に最高級や最上級などの定義はありません。例えばお豆腐では組合があり、そのような表現は禁止されています。

●加工澱粉というのは澱粉ではなく添加物で薬品です。大きく3種類ありますが中には発がん性物質が含まれていると言われているものもあります。(諸説あり)

●期限を延ばしたり、もちもち食感にしたり、流通しやすいように冷凍してもおいしく食べれるといった販売都合で安易に添加物をつかっているところも多々あります。(これは添加物の話になるので、ちょっと話ずれてきますね。)せっかくの伝統の和菓子なので、できれば自然のものだけで作られているものをお勧めします。

●「本わらび餅」と明記した場合の「蕨粉」の含有量は販売者と消費者で5%と100%で95%もの感覚の違いがあり、販売者もそれは重々理解しているため、含有量をお店の人に聞いても言いづらくて、ほぼ教えてもらえないと思います。

出来ればこのページの内容を判断基準にしてもらえたら少しは差が縮まっていいかなって思います。